以前、橋について書いたん事がありましたが、なんだか書き足りなかったので、再度、橋について書いてみようと思います。
橋っていうのは、元もとの意味としては、端から来ているみたいですね。
わりと村の端っこ、地域の境目にかけてある事が多いから、端と端を渡す、端渡し、橋。
なんて風に変わったのかもしれませんね。
一方、少し似たような考え方で、降魔が辻なんて考え方もありますよね。ほら、川を船を使った通路、魚の通り道と、そこに交差している橋を含めれば、立体的な辻と言えますからね。
そんな事を考えると、二つの道が交差する場所ってのは、なにか人知では計り知れない物が現れるような場所と思われていたのかもしれません。
そんなこんなで、色々なイマジネーションが入り混じる橋ですが、逸話もいくつかございます。
例えば、本所の幽霊橋。
これなんかは、以前に紹介した姿不見の橋と似たような物で、昔、その橋で座頭(目の見えない坊主ね)が殺されて、その幽霊が明け方になると、橋の向こう側に渡り、こちらに戻ってくる音だけが聞こえてくるという物。
「タダガタガタト下駄ノ音ヲナセリ、故二カノ幽霊ナリト言エリ、ヨッテ人々恐怖シテコノ橋ヲ幽霊橋ト名付クヨシナリ」と「陰陽外伝磐戸開」という書物に書いてあります。
と言っても、その後にも文章があって、橋普請の時の木材の歪で出た音を近隣の臆病者が、勝手に解釈したのだと、幽霊話を打ち消してはいるのですが。まあ、当時、橋には、そんな話を蔓延させる物を感じていたという事にはなるのではないでしょうか。
あと「源平盛衰記」なんかでも、中宮の出産の際、乳母である二位殿が、戻り橋の東側で車を停めて、その場で辻占いをしたり、祈祷した末、死んだ父親が蘇った話とか(浄蔵貴所が、父、三善清行を祈祷で蘇らせた事から戻り橋と名付けられたらしい)
とにかく、橋といえば、何か違う世界のモノが行き来するようなイメージを膨らませた人は、昔から多かったみたいですね。
考えてみれば、日本人は農耕民族。
水路の源になる川は、まさに、生活の要。
その生活の要である川と、境界線と境界線を繋ぐ、自然にはある筈の無い道(橋)が立体的に交差する場所という事になるのですから、ぶっちゃけ、そりゃあ、普通の場所である筈がありませんよね。