招き猫

私の実家には、招き猫があります。

それこそ、付き合いとしては、中学生の頃から保持していたので、それこそ付き合いは三十年近くになります。

こんな話をすると、よっぽど、猫がすきなのだと思われそうですが、そういう訳でもありません。

勿論、猫は好きなのですが、それとは別枠で、この招き猫が好きなのです。

ちょっと、小太り二十顎。瀬戸物の肌に、三毛の柄、他の招き猫が、高々と片腕を上げている中で、なんとも気だるそうに(あくまで私の主観ですが)、軽く左手首を曲げているとしか見えない、可愛いやつです。

未だに奴との付き合いは続いています。

それで、奴の左手なんですけど、おそらく、奴が生まれてから、このん十年、ずっと挙げっぱなしなんですよ。

当たり前といえば、当たり前なんですけど、少し気になって、調べてみた事があるんです。

なんでも、招き猫には、大別して「右手上げ」「左手上げ」と種類があって、それぞれ意味が分かれているらしいんですよね。

もしかしたら、知っている人もいるかもしれませんけど、書いてみます。

まあ、一番大きなわけ方では、「右手」が「左手」かという事なんですが、

「左」=招客(人を呼ぶ)

「右」=招福(金を呼ぶ)

という事になり、一般的には、左手を挙げているモノを、商店や飲食店では飾り、家庭などには右手を挙げている猫を置くようになっているようです。

京都の称念寺というお寺などは、招き猫で有名な場所で、金色のモノが金運、白が福、黒には病気を防ぐ力があるとされ、夫々のご利益によって色分けされている。

ちなみに、この称念寺は、今ではペットを供養するペット寺としても有名だそうです。

さらに、招き猫の由来に関しても、諸説があるようで、

中でも有名なのが、東京都世田谷区豪徳寺の話です。

ある日、彦根藩主 井伊直孝が寺の門前で手招きする猫を見つけ、近寄って寺の中に入ってみると、直孝のいた門前に雷が落ち、猫のお陰で命拾いしたという話だそうです。

その話と関係あるかどうかは、分かりませんが、豪徳寺には今でも猫塚があるそうです。

他には、両国の女郎屋「金猫銀猫」が最初に飾っただとか、吉原の薄雪太夫という花魁の飼猫をモデルとしたという話から、養蚕農家が鼠避けのげん担ぎで猫の置物を飾り始めたという説まであります。

本当に誰かどういう経緯で始めたのかしれないけど、よくもまあ、長い間続くもんですよね。

ちなみに、うちの実家の招き猫、後頭部に小銭を入れる穴があって、貯金箱になっているんですけど、金を出す場所が見当たらないんです。

造る人がつけ忘れたのかどうか、それともわざとなのかは分かりませんけど、これって…割らなきゃ、中身取り出せないって事ですよね。…絶対、出来ませんてば…それだけは。

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