皆様、妖怪って聞くと、どんなイメージを持ちます?
私は、どちらかというと、唐傘お化けやみたいな、ちょっとユーモラスな姿が頭に浮かびます。
幽霊、怪物、妖怪といった言葉に、全然違う印象を感じる時、僕は、そういったイメージが自分の中で働いているような気がします。
こうした、ユーモラスな妖怪の姿というのは、手繰ってゆくと、ある一人の絵師の作品に辿りつくような気がします。
鳥山石燕画、『画図百鬼夜行』というシリーズ物の浮世絵です。
そうあの京極○彦とか、水木○げるの作品で、散々お目にかかった、あれです。
この鳥山石燕という絵師は、狩野派に師事し、後の弟子の中には喜多川歌麿なんていう大御所までいるようなお方です。
安永五年(1776年)に完成されたこのシリーズの中には、百四十種もの妖怪画が描かれ、さらに、その後、鳥山石燕自身が書き足した物まで含めると、二百種類を越える妖怪画が描かれた事になります。
本当に、好きじゃなきゃやれない仕事と言えるでしょう。
鳥山石燕をはじめとして、多くの方々が書いた妖怪画を、その後の浮世絵師なんかが書き写したり、明治に入って柳田国男先生が地方の妖怪話を発掘して数を増やしたり、現代の漫画家さんが妖怪画を引用したり、たまにアレンジなんかも加えたりと、そんな紆余曲折を経ながら、自分の頭の中に、妖怪のイメージが植え付けられたのだなと考えると、妙に感慨深く思えてしまうついこのごろです。